先日アップしたストックオプションに関する記事の続編です。
2006年5月より(予定)新会社法が施行されストックオプションの費用計上が義務付けられます。2005.6.29会社法が国会で成立、2005.7.26公布、公布から1年6ヶ月を超えない範囲内で施行、今のところ5月施行予定ということです。税理士の方が法務省に問い合わせたところ、まだ5月予定としか言えないそうで、改正のボリュームが膨大なために苦労しているようだとのことです。
■ストックオプションに関する会計基準の概要
ストックオプションを従業員等に付与した場合、その公正な評価額(ブラックショールズモデルなどによって評価した価額)を「株式報酬」等のPL科目に費用計上し、対応する金額を純資産の部に新株予約権として計上する必要があります。オプションを行使された時に銀行預金、純資産で仕分けを行い、資産から消えます。オプションが行使された時に払込まれた金額と新株予約権の金額との合計額が資本に振替えられることになります。
コンセプトは以下。
将来期待されるキャピタルゲインを現在の価値に割り戻すことにより、今現在の報酬とみなし給与として渡したのと似たような価値に置き換えるということ。この計算式に利用されるのがブラックショールズモデル等。今まではこの対価を費用計上する必要が無く、PLにインパクトを与えないインセンティブ制度として利用されていました。ただ、費用計上とは言え一括では無く、均等按分等、当期に発生したと合理的に認められる額で構いません。
ただし、未公開企業については本源的価値(株価-行使価格)によってオプションの価値を見積もることも認められるという点に注目する必要があります。未公開企業の株価は算定が難しいので現在の株価は直近のファイナンスで使った株価が利用できそうとのこと。現在の株価は直近のファイナンスで使った株価等が参考になるが、未公開企業の株価は算定が難しいので専門家に相談した方が無難です。
要するに
オプション付与時株価<行使価格
の場合、未公開会社であれば本源的価値が0となり費用計上なしになり現在の法律と変わらないということになります。
行使価格をその時の株価以下に設定するということはGDOの時も行っておらず、どのような株価であったとしても公開前と公開後ではその開きは大きいので、特に有利な行使価格を従業員に与えることは然程気にしなくても良いと思います。行使価格を少し高くしても従業員にとってのメリットは十分にあるということが言えます。
ただ、税制適格を得るためには「年間の権利行使価格の合計額が1200万を超えないこと」というのがあるので、行使価格が高くなれば複数年に分けて行使しなくてはならなくなります。
纏めると未公開会社であれば本源的価値が0となるため、費用計上が不要となり、結果的に現在の会計処理と変わらないということになります。
税制適格に触れたので、そこまで話を広げます。
■税制適格ストックオプション
一定の要件を満たす場合は、株式の売却まで課税されない。税制非適格の場合、ストックオプションを行使した時に行使時に得られる経済的価値に対し課税されます。それは給与所得と同等扱いなので累進税率が適用されるので比較的高税率となる。税制適格の要件を満たしている場合、行使時非課税となり従業員にとっての税額で大きなメリットがうまれます。
株式売却益を得た時点でその益の10%のみが課税対象となるのは税制的確、非的確関係なく同じです。その税率は現段階では平成19年末まで10%でその後20%に上がる予定です。
ストックオプションホルダーが税制適格を受けるための要件は以下となっています。
・大株主(未公開会社の場合は1/3以上)除く
・無償発行
・行使価格は付与時の時価以上
・権利付与決議の日後2年~10年の間に権利行使
・年間の権利行使価格の合計額が1200万を超えないこと
・ストックオプションの譲渡禁止
・商法上、適法に発行されたものであること
・権利行使により取得した株式は証券会社等で管理する契約がされていること
税制的確とは関係ありませんが、ストックオプションを発行する企業側は対象者の氏名、住所、株式数、行使価格等を記載した調書をストックオプションを付与した年の翌年1月31日までに税務署に提出しなくてはなりません。
如何でしょうか。特に未公開企業の部分の解釈で間違った見解があると思われる方は是非コメント頂ければ幸いです。
ふ~。結構詳しくなりました(^^ゞ
ストックオプションのことを調べていたら、何故か中村様のブログにたどり着きました。
すごく勉強になりました。
今後ともよろしくお願いします!
投稿情報: シースタイル 川合 | 2006-04-19 23:59